エピソード 01
レーシングカーの世界へチャレンジ
テクニカルパートナー契約とは、スポンサーとか単に部品を供給するというだけではなく、こちらからの提案に対して評価をしていただくという関係です。要するに、モルテンの部品を付けたら走りはこう変わるはずですよといったことに対し、先方から「狙い通りだ」とか「こういう点で不満だ」といった評価をしてもらう。つまり、文字通りパートナーとして、車の性能向上を追究し、彼らの勝利に貢献する、という間柄であるということです。
モルテンのノウハウをベースに開発
我々が提供しているのはラバーブッシュといって、サスペンションの一部として使用される部品です。人間でいうと関節に当たる部分ですね。タイヤと車体を車軸、サスペンションでつなぐのですが、そのつなぎ目のゴム製品がラバーブッシュです。
ご存知の通り、自動車は基本的に金属でできており、関節部分にゴム部品をつけることによって、路面から車体に伝わる衝撃や振動を吸収することができます。つまり、車の乗り心地を大きく左右する部品だといえます。もちろん、乗り心地でいえば、ボディ剛性とかサスペンションの設計の影響の方が大きいのですが、ラバーブッシュ一つで全く違う乗り味になるのも事実なんです。
乗用車とレース車両に求められる性能の違い
レース用の車は乗り心地は度外視して、速く走ること、スピードを最優先します。直進時の安定性はもちろんですが、コーナリングの時の車体の傾き(ロール)を抑えるために、いわゆる「固め」の足回りとなっています。だから、我々の提供するラバーブッシュも、硬度の高い材料を使用しているので一般の人が乗ると極めて乗り心地の悪い車になっていると思います。
レース車のノウハウは乗用車の部品開発に役に立つはず
レース車であっても乗用車であっても、いかにしてエンジンの力を効率的に路面に伝えるかという基本は同じです。また、ドライバーが意のままに車を操縦できるかという、ドライバビリティを高めるというのも同じで、レース車用の部品をつくることには、乗用車の部品を設計する際のヒントが多くあると考えています。
それぞれに求められる性能は異なり、部品に要求されるスペックも違いますが車の本質は同じはずです。かつて、ある自動車メーカーはF1レースで得た知見を、乗用車に見事に活かし、性能向上とブランドイメージアップを実現しました。レースで得られるノウハウは、必ず乗用車の部品開発に役立ちます。