エピソード 01
プレイヤーの技術力向上に貢献したい
きっかけは、社内で選抜された社員が1年をかけて取り組む戦略研修です。この研修から、新規ビジネスB+事業が生まれた経緯は紹介されている通りですが、B+の活動を進めていく中で、日本のバスケットボールの「シュート成功率の低さ」という課題に気がつきました。また、大会によって成功率にバラツキがあることにも注目しました。例えば、2019年のFIBAバスケットボールワールドカップのアジア予選での成功率は悪くないのに、本戦では、出場国中ほぼ最下位のレベルに甘んじています。バスケットボールは、体格がモノを言う競技とはいえ、アメリカなどの強豪国と比べて、クイックネスやシュート以外のスキルで大きく劣っているわけではありません。ならば、まずなすべきは、シュート力向上だろうと推察し我々が何か貢献できることがあるのでは、という探究が始まりでした。
なぜシュートの成功率が低いのか?
圧倒的にシュート練習が不足していると考えました。アメリカだと、体育館や街中にゴールがあって、シュート練習ができる環境が整っている。1日に何百本というシュート練習をやろうと思えばできるわけです。この環境の違いに加え、日本ではチーム練習が重要視されていて、シュート練習は日に数十本程度というのがザラです。さらに、できるだけ多くのシュート練習しようと思うと、シュートを打つ人、ボールを拾って投げる人という2人組でやる必要がありますが、これだと、結局一人当たりのシュート本数はなかなか増えません。
このジレンマを解消するために考えたのが、「シューティングマシン」です。一人でも効率的なシュート練習ができる。誰にも遠慮することなく納得いくまでシュートを打ち続けることができる。漫画『スラムダンク』に、主人公が仲間たちと「2万本シュート練習」を行うシーンがありますが、あれが一人でできるんです。
「シューティングマシン?」こんなものが売れるのか。
「こんなものが売れるのか?」これが最初にシューティングマシンの構想を聞いた時の正直な感想でした。でも調べてみると、アメリカからの輸入品だったり、野球のピッチングマシンのメーカーがつくっていたりと、あるにはあるんです。一方で、アメリカではどこの体育館にも、どのクラブチームにも当たり前のようにシューティングマシンがあることもわかりました。
考えてみると、野球のバッティング練習用のピッチングマシンも昔はプロや大学、高校の強豪校くらいにしかありませんでしたが、今はごく普通の高校の野球部にもあります。これと同じようにできるんじゃないか、そしてそれは間違いなくバスケットボールの「強化」につながるはずだ、というイメージが湧いてきました。
スポーツは強くないと注目してもらえない。
野球もサッカーも、日本が強いからみんな関心を持ちます。八村選手のような世界に通用するプレイヤーが出てきたとはいえ、バスケットボールへの関心度はまだまだ。Bリーグも始まりましたので、もっとバスケットボールの人気を高めたい。そのためには強い日本であることが必要で、そのカギとなるシュート力強化に、必ずモルテンのシューティングマシンが貢献できると考えています。